トイレの水が勝手に流れるとき水道代は大丈夫?漏水の応急処置も

トイレの水が勝手に流れ続けているとき、「少しだから大丈夫」と放置してしまうと、漏水により水道代が高額になる可能性があります。漏水による水道代は原則として利用者が支払う必要があり、状況によっては減額制度を利用できる場合もあるものの、必ずしも減額されるとは限りません。トイレの水が止まらないと気づいたら、まず応急処置を行い、早めに原因を突き止めて修理を行いましょう。
当記事では、水道代への影響や減額制度の有無、さらに具体的な原因と対処法について分かりやすく解説します。
【この記事はこんな方におすすめです】
- トイレの水が勝手に流れており気になっている方
- トイレの漏水に悩んでいる方
- トイレが漏水したときの水道代が気になる方
目次
トイレの水が勝手に流れる場合の水道代はどのくらい?
トイレの水が勝手に流れ続けると、わずかな漏れでも1か月で高額な水道代になる可能性があります。東京都水道局の試算によると、トイレの漏水によって1か月でおよそ69,000円の料金が発生するとされています。
もし「チョロチョロ流れているだけだから大丈夫」と放置してしまうと、知らない間に大きな負担につながりかねません。トイレの水が勝手に流れていると気づいたら、早めに原因を特定して修理を行うことが大切です。
トイレの漏水時の水道代は減額してもらえる?
水道料金は基本的に「水道メーターが計測した分を支払う」義務があり、漏水によって高額になった場合でも原則は使用者の負担です。しかし水道局では、不可抗力による漏水や発見が困難な漏水については「減免制度」を設けており、条件を満たせば水道代を減額してもらえる場合があります。
ここでは、減額制度を利用できるケースとできないケースについて詳しく解説します。
減額制度を利用できるケース
減額制度が適用されるのは、使用者に過失がなく、日常生活の中で発見が難しい漏水が中心です。
たとえば、壁や床下、天井裏など目に見えない場所の給水管からの漏水や、地震や台風など自然災害によって起こった破損などが該当します。これらは、使用者がいくら注意していても防ぎきれない事例とされ、修理を行ったうえで水道局に申請すれば、減免を受けられる可能性があります。また、発覚した後すぐに修理を依頼し、速やかに対応したかどうかも判断基準の1つです。
ただし、減免の判断は自治体や水道局ごとに基準が異なり、申請後に審査が行われるので、「必ず減額される」とは限りません。減免の申請には修理業者が発行する修理証明書や領収書などが必要になることも多いため、修理と同時に書類の用意を依頼しておくと安心です。
減額制度を利用できないケース
使用者の過失が認められるケースでは、たとえ水道料金が高額になっても減免されることはほとんどありません。たとえば「蛇口を閉め忘れた」「水漏れに気づきながら修理をせず放置した」「水道局や近隣から指摘を受けても対応しなかった」といった場合は、自己責任と判断されます。
また、減免の対象となる漏水であっても、修理後の申請期限を過ぎてしまうと減額措置は受けられません。申請期限は「修理完了から3か月以内」など自治体ごとに異なるため、修理後はできるだけ早めに問い合わせましょう。
減免制度は「やむを得ない漏水」に対する救済措置であり、日常の管理を怠った場合は対象外です。
トイレの水が勝手に流れるときの応急処置
トイレの水が勝手に流れて止まらないときは、まず応急処置として水の供給を止める必要があります。トイレには「止水栓」が設けられており、止水栓を閉めることでタンクへの給水を止められます。
止水栓はトイレの壁や床から伸びる給水管の付け根に取り付けられており、マイナスドライバーや手で回して右方向に回せば閉められます。止水栓を再び開ける際には、閉める前の位置にしっかり戻さないと給水に時間がかかる場合があるため、事前に写真を撮っておくと安心です。
トイレの水が勝手に流れる原因
トイレの水が勝手に流れ続けるとき、その多くはタンク内部の部品が劣化・故障していることが原因となっています。ここでは代表的な原因とその対処方法を解説します。
ボールタップの故障
ボールタップは、給水管からタンクへ水を供給する量を調整する部品で、浮き玉と連動して水位を一定に保つ役割を持っています。通常は水位が上がると浮き玉が上昇し、ボールタップが閉じて給水が止まります。
しかし、部品が劣化すると水が止まらず、タンクの水位が上昇し続けてオーバーフロー管から便器に水が流れてしまいます。節水目的でペットボトルを入れている場合も、浮き玉やボールタップの動きを妨げる原因となるため注意が必要です。
ボールタップに原因がある場合は、止水栓を閉めたうえでタンクを開け、ボールタップを取り外して新しいものに交換しましょう。作業にはマイナスドライバーやモンキーレンチが必要ですが、手順を誤ると水漏れや破損のリスクがあるため、不安があれば専門業者に依頼するのが安心です。
フロートバルブの故障
フロートバルブは、タンク底部で水をせき止めるゴム栓のような部品で、レバー操作によって鎖に引かれ持ち上がり、水が便器へ流れる仕組みになっています。ゴムは経年劣化により縮んだりひび割れたりしやすく、その隙間から少量の水が便器に漏れ続けることがあります。また、チェーンが絡まったり長さが合っていない場合も、フロートバルブがしっかり閉まらず水漏れの原因になります。
フロートバルブが劣化している場合は、新しいフロートバルブと交換しましょう。止水栓を閉めてタンク内の水を抜き、古いゴム栓とチェーンを取り外してから新しいものを取り付けます。
チェーンの長さは適切に調整する必要があり、長すぎても短すぎても不具合の原因になります。DIYで交換することも可能ですが、部品選びを誤ると適合せず再度トラブルを招くこともあるので、専門業者のアドバイスを受けるとよいでしょう。
レバーハンドルの故障
トイレのレバーハンドルは、鎖を介してフロートバルブと連動し、操作によってタンク内の水を流す役割を担っています。このレバーが摩耗や破損で元の位置に戻らないと、フロートバルブのゴム栓が開いたままとなり、水が止まらずに便器へ流れ続けてしまいます。また、鎖が外れてしまったり、長さが不適切な場合も水漏れの原因になります。
修理するときは、止水栓を閉めてタンクの水を抜いた後、タンクのふたを外し、レバーとチェーンを外してから新しいレバーに交換します。交換は比較的シンプルな作業ですが、メーカーや型番によって部品が異なるため、必ず適合するパーツを選びましょう。
オーバーフロー管の劣化
オーバーフロー管は、タンクに水が溜まりすぎたときに便器へ逃がす役割を持つ安全装置です。しかし、この管自体に亀裂や劣化が起こると、本来正常な水位でもタンクから便器へ水が流れ続けてしまいます。特に古いトイレでは樹脂部分の劣化が進んでいる場合があり、気付かないうちに水が無駄に流れて水道代の増加につながります。
オーバーフロー管の交換は、タンクの取り外し作業を伴うため非常に難易度が高く、慣れていない人が作業するとタンク破損や周辺部品の損傷につながる恐れがあります。この部品の修理・交換は自分で行わず、水道修理業者へ依頼しましょう。専門業者なら適切に部品交換を行い、他の劣化部品も同時に点検してもらえるため、安心してトイレを使い続けられます。
まとめ
トイレの水が勝手に流れていると、わずかな水漏れであっても水道代が大幅に増える恐れがあります。漏水に気づいた時点で早急に応急処置を行い、早めに修理を依頼しましょう。
原因の多くはタンク内の部品劣化にあります。劣化した部品はDIYで交換できるケースもありますが、オーバーフロー管など難易度の高い部品は専門業者に依頼するのが安心です。トイレの不具合を放置せず、早めに対応することが、結果的に水道代の節約と安心した生活につながります。